「ハウルの動く城」への不満点。
今頃になって「ハウル」を見ました。先週のロードショーですね。
それなりの面白さがあるとは思うのですが、せいぜい及第点といった印象でした。
まず、思った事が、「木村拓哉は合格点」。
昔感じた声優・香取慎吾への悪印象が原因で、期待値がとても低かったのですが、十分だと思います。
木村拓哉の声が頭に残っていないからか、本人の顔は全然思い浮かびませんでした。
問題点としては、「守らなければならないものが」と言った時の滑舌が悪さと、ソフィーも含めて嘆いたり叫んだりした時の、感情の薄さでしょうか。
キャスト全体に関して思った事ですが、どうも「ハリ」が足りないように感じます。
淡々としすぎていて、のっぺりした印象です。はっきり言うと物足りないんですよね。
美輪明宏と我修院達也は良かったと思います。大塚明夫は良くて当たり前(笑)。
物語的にはいろいろと、不満が残りました。
基本的に巻き込まれ展開ばかりで、ストーリーを通して「何かを為す」という行動目標がないため、支離滅裂な印象です。
戦争の存在も、物語を散漫にしているのではないでしょうか?
ハウルを戦争に利用しようとする王宮が悪役なのか、襲撃してくる敵国が悪役なのか?
戦争の発端や経緯や全体像が不明確なため、物語での位置づけが非常にわかりづらいです。
そのうえ、両国の名前すら登場していない(ですよね?)。
サリマンの「しょうがないわね。(略)この馬鹿げた戦争を終わらせましょう」というセリですが、その気になれば簡単に止められると言う事ですか?
思いつきだけで停戦を検討できるなんて、これまでは惰性で続けていたという事ですか?
……そいつは、無茶だ。
飛んでいる軍艦に対して、ハウルが「人殺しどもめ」と言い放ちますが、これは言い過ぎでしょう。
軍人を神聖視するつもりはありませんが、祖国のために命懸けで戦う人間に対する言葉ですかね?
彼等が戦わずに自国が侵略されたら、ハウルが助けてくれるんでしょうか?
ソフィーの行動ですが、引っ越しすると言って城を壊したのも問題だし、荒野の魔女を救うために水をかけたのもハウルが死にかねない暴挙です。
あまりにも場当たり的で、なんの根拠も存在しないため、理解できない行動が続きました。
ソフィーが呪われたのは、そもそもハウルに巻き込まれたのが原因です。それなのに、ハウルはその事実を知らず対処もせず責任も取らない。
これは問題がありすぎではないでしょうか?
現実社会なら、そこまで責任を負えとは言いませんが、所詮はフィクションです。
せめて、ソフィーの呪いが解ける描写は必要だと思います。
師匠であるサリマンは気にも留めないし、自由になったはずのカルシファーまで知らんぷりとは。
ソフィーがたまに若返るのはアクセントになっていいと思うのですが、その理由付も欲しいところ。
話の筋を全て無視して、魔法の効果などの視覚的な部分だけなら楽しめたと思います。
城が動いたり、城が崩れたりの、あのゴチャゴチャ感は好きでした。