冬アニメ

今期のアニメは非常に不作だったと思います。


以前、『IS』の設定を批判したのですが、……振り返ってみると、それでも笑って話のネタにできる作品なのかなぁと、あらためて実感しました。
なぜならば、他の作品では登場キャラや話の展開にストレスが溜まるため、視聴することに苦痛を感じるからです。
明らかな作画崩壊はないし、下手くそな棒読み声優もいません。
表面上は及第点と言えるアニメが多いのに、作品の総評としてつまらないと感じます。
作画や音声に問題がない分、生じる不満は物語や設定に向けてしまうのでしょう。
小粒の作品が多い中で、優遇されるべき「とある魔術の禁書目録」の方が作画が劣化したように感じたぐらいです。


譲れない事情を明らかにすることもなく、戦闘前に対話で解決しようと試みる努力が見られないし、……全般的に、自分の願望を前面に押し出したワガママな子供みたいなキャラが多く、敵側の存在感や強大さをまるで感じません。
また、主人公側のピンチも、逆転劇というお約束などが待ち受けているものだから、敵側の理不尽な押しつけをそのまま受け入れ、周囲の人間がだれも正そうとしないという、不可解な状況が頻発しています。
以前の「聖剣の刀鍛冶」でも思ったのですが、倫理観の歪なキャラが登場するのはまだしも、それを注意する人間がおらず、さらには、多数の人間が常識の欠ける行動を取っていては、意図的に構築されたキャラではなく、作者本人の道徳観念が一般常識とかけ離れているのではないかと疑いたくなります。


魔法少女まどか☆マギカ
そもそも、比べるに値する作品はありませんでしたが、文句なしに今期一番の良作でしょう。
事前に、虚淵玄の名が出ていたのは、覚悟完了するためにもありがたかったです。
ほむら主役回の10話は素晴らしかったですね。数回のループを明示する必要もあって、名場面ばかりを集めたような形です。
ところで、あのさやかにはまるで同情できませんでした。
「こんな身体になってしまったら告白なんてできない」などと、告白できない理由を魔法少女に関連づけていましたが、それは違うでしょう。
思い人を友人に奪われるのはありがちなシチュエーションだし、魔法少女であることの身体的な障害は指摘されるまで気づかない程度のものです。
告白できない理由は、単純に告白しようとしないからでしょう。
……まあ、友人の仁美も、男の上条も、擁護したいキャラではありませんけどね。


とある魔術の禁書目録
真面目な作品づくりはされていたと思います。
……しかし、根本的にこの作品はアニメ化に向いておらず、そのすりあわせが酷かったですね。
当麻の戦いは、相手の能力の弱点を考えながら、口で言い負かすのが基本フォーマットです。
ここを上手く見せていれば良かったのですが、戦闘シーンを棒立ちのままセリフで進行するため、クライマックスが全然盛り上がりません。
小説だと文字媒体なだけに、ごまかしが効くんですけど。
オルソラの救出時に、原作では「まだまだオルソラの幸せは終わらない」という私のお気に入りのフレーズが存在するのですが、キャラのセリフではないために、これまた、アニメでは表現しづらいんですよね。


>レベルE
アニメ化に際して頑張った方ではあるのですが、端的に言い表すならば、冨樫先生の素質には到底及ばないということになるのでしょうか?
アニメ的な誇張表現をすることで、作品の土台が非常に浅く感じられます。
実を言うと、アニメを視聴した時に、「こんなに物足りない作品だったけ?」という印象を受けました。
例えば、カラーレンジャーで「トイレに逃げ込んだレッドへ先生が詰め寄る」シーンは、セリフだけなら心配しているように思えるのに、その本心がまるで別だという、その隔たりが印象深い場面です。しかし、アニメでは口調そのものが脅しになっているため、せっかくのセリフがまるで活かされていません。
リアルな世界観で荒唐無稽なネタをやるから面白いのに、アニメ的な演出で進められてしまうと、全体的に陳腐な衣装が拭えません。


フラクタル
開始当初は期待したんですけどねぇ……。
通常の作品ならば、抵抗軍や少数派は虐げられる側として登場します。
ところが、主義者同士が集まって生活することも街への出入りも物資補給も許されているのに、自分達の主張を押し通すために襲撃を繰り返しています。あれは、「殺人」と称されて当然の行動だと思いますが?
交渉材料もないまま説得に向かい、あっさりと言い負かされるフリュネには驚かされました。あれは凄いシーンだと思います。
後日談でクレインを評価するセリフが出ましたが、それほどのことをやったんでしょうか?
未来少年コナン」の最終回でも「コナンなら大丈夫だ」というセリフが登場するのですが、シチュエーションだけは似てるのに、受ける印象に天と地ほどの隔たりがありました。
それと、下品な中年男を見て「今、そこにいる僕」を思い出しました。あれはきついアニメでしたね。


>お兄ちゃんのことなんて好きなんかじゃないんだからね
マニアックなネタが多少は楽しめたのですが、斜め上に感じて届かないネタが多かったです。
男の乳首ネタには、まるで興味が湧かないし……。
話の都合で、兄の新しい一面を見たたがったり、兄を独占したがったりするので、妹のキャラも一貫性に欠けていたと思います。


>……他作品。
わざわざ話題にすることすら労力の無駄と感じる作品が多かったです。