仮面ライダーSPIRITS

 マガジンZ今月号(先月発売)の掲載分において、筑波洋が初めてスカイライダーとなった回想シーンが登場します。
 村枝先生は実に芸が細かいと感じました。スカイライダーはテレビ本編の中盤で特訓によるパワーアップを行っています。そのため、その前後でカラーリングが変更になりました。回想シーンの色が濃いのはそのためでしょう。


 私はこのマンガを読んでいて、何度か驚きを感じることがありました。
 ライダーマンの義手はカートリッジの交換で完全に形状を変えてしまいます。どう考えてもあり得ないのに、村枝先生はそのままの設定を使用しました。
 スカイライダーの脇役であるガンガンジィが登場しました。ただでさえ主役級が10人もいるというのに(笑)。
 そして、ライダーたちは未だに正義の味方を続けています。彼らは本業を持っていて「最低限文化的な生活」はおくれるのかもしれません。ですが、命がけで戦いながら、富や名声とは無縁に暮らしています。夢物語にしか存在しない陳腐な「正義の味方」が、この作品のなかではまさに「漢」として表現されています。


 本当に村枝先生は仮面ライダーが好きなのでしょう。
 原作の短所らしき箇所にあえて手を加えないというのは、村枝先生の熱意と実力のたまものだと思います。


 私がこの作品を初めて読んだのは、マガジンZに掲載された第二話からです。「ニューヨークの街を疾走するサイクロン号」の写真と、それが新聞に掲載されているというシチュエーションは、たまらない物があります。見損ねて悔しがった第一話はやはり傑作でした。
 続く第三話で、朝焼けの中で対峙する2号ライダーとクモロイド。そして、戦いを決した卍キックの凄まじさ。これは燃えるっ!
 残念ながら私はZXよりも、9人ライダーの方に思い入れが強いため、ZXが主役となると、今ひとつの印象です。(まあ、ZXに思い入れが強い人は珍しいでしょうけど)
 とはいえ、今の時代に蘇った(旧作の)仮面ライダーが、これほどの傑作であったという事実は、作者にとっても、ファンにとっても、喜ばしいことだと思います。
 参考までに、私は平成のライダーシリーズは全く見ていません。ブラックは途中までは見ていたものの、面白かったのは第一話だけでした。