Fateの演出

 正直な告白をします。
 最初に「Fate」をプレイした時、立ち絵の演出を見て「安っぽいなぁ」と思ったものです。
1)立ち絵がちょこちょこ動くこと
2)バックのCGを拡大表示や回転させること
3)戦闘シーンで多用される軌跡を思わせるCG
 これらの手法を用いたことを、私は単純にCGを作成できないからだと考えました。まあ、それはそれで事実かもしれませんが(笑)。
 このとき、私の頭の中では「CG代をケチる=安っぽい」という思考だったわけです。
 しかし、3)については、プレイ中に認識が変わりました。アクションシーンのテンポや流れを見せるには十分ですし、文章のバックに表示させるには簡素なCGの方が適していると思えます。


 比較対照としてあげると怒られそうですが、その後「デモンベイン」(PC用初期発売版)を購入しました。
 ヴィジュアルノベルという同じ形式だったこともあり、2作品の差異が非常に顕著に感じられました。
 この「デモンベイン」のプレイ中に思ったことが、「立ち絵がぬぼーっと突っ立っているなぁ」とか「文章とCGが一致してねーぞ」といった点。
 つまり、Fateで気になった点と全く逆の不満を持ったわけです。


 私はここでようやく気づきました。「CGがないから作成する」というのは、非常に安易な方法だと。
(まあ、すべてのCGを作成するなら、それはそれで凄いわけですが)
 実際、一度しか使用しないCGを多量に作成するのは全くの無駄です。それならば、転用のきく演出技法を複数開発する方が、遙かに有意義でしょう。
 文章との差異を隠すために一部を拡大したり、動きを想像させるために回転したりする方法。立ち絵を使って人形劇のように動かす方法など、すべてが職人芸なのだと感じ入りました。


 新しく発売された「hollow」では、画面内に最大4人がひしめきあうぐらいで、立ち絵の効果がいかんなく発揮されています。
 旧来の3サイズで作成された立ち絵のみならず、タイガー道場に出てきたポンチ絵(?)まで多用されており、場面ごとのCGがなくとも、立ち絵の動きで楽しめる部分が多々ありました。特に「ショックを受けたキャラが、突然デフォルメ化する」見せ方が逸品です。
 あと、立ち絵そのものとしては、「士郎に飛びつくイリヤ」が非常にほほえましく、思わずニヤけるほどでした。


hollow」は作品として……というよりゲームとして微妙な部分もありましたが、まず楽しめたと思います。作品感想については、また後日。