アイマスの慈風Pが凄いという件


 アニメ「アイドルマスター ゼノグラシア」の放映時における私の認識は、「アイマス」ってゲームがあったような気がする。――そんな程度でした。
 ニコニコを利用し始めて、ようやく「アイマス」がどんなゲームか知った具合で。
 ニコニコでは一週間ごとに、「アイマス関連動画についてのランキング動画」が更新されるほどに盛況で、門外漢の私は非常に驚きました。


 その中で、特に驚愕させられたのが慈風Pの制作動画。
 最初に見た時は、普通のプロモーションビデオの感覚だったので、「デキがいいMADだな」という程度の認識でした。
 ところが、他のアイマス作品を見るようになって、認識が改まりました。
 オーソドックスな作品は、「3Dキャラのダンスシーンを切り貼りした」だけです。
「だけ」とは言っても、キャラの衣装を準備して、カメラワークを設定し(てると思う)、ダンスの素材を集めたり、リズムにあわせてシビアな時間調整をしたり、場面転換の演出や顔のアップを重ねて表示したりと、いろいろな苦労があるのでしょう。
 ゲームもした事ないし、動画を制作した事がないので、本当の難しさを私は理解できていません。


 ところが、慈風Pにとってそれらの技術は「あって当然」らしく、より高度にマスターしているように思えます。
 他の作品では「キャラの動いている事」をメインに構成していますが、慈風Pの場合はキャラが動いている所を部品として扱い、「それらを組み合わせた映像」を創り上げています。
 正直な印象で言うと、慈風Pは創造するための芸術家としてのセンスが非常に高く、そのうえ、制作に必要な職人としての技術はそれ以上に高いんじゃないでしょうか。


 特に素晴らしいのは、全キャラが入れ代わり立ち替わりフレームの中に飛び込んでくるという演出。
 全キャラが勢揃いして、同じダンスを踊るのならまだしも、慈風Pの作品には下記のような演出が登場します。
 Aが退場。Bが踊る。Cが登場。
 Bが退場。Cが踊る。Dが登場。
 Cが退場。Dが踊る。Eが登場。
 キャラ単体でのダンスだけでなく、全体の流れまで演出するのが素晴らしい。
 全キャラの顔見せなんかも、カメラが横へスクロールするだけではなく、斜め横からだったカメラ視点が最後には正面になっていたりと、非常に細かい手間をかけています。


アイドルマスター ひざしの奥のハッピーハート / バストアムーブ2」という作品も驚きです。
 ダンスがメインの「アイマス」で「ただ歩いている」という、意表を突いた作品。
 キャラは歩く動作を繰り返しているだけなのに、流れていく背景や、時々追い抜いていく車がアクセントとなっています。
 街並みは全て自作の(と思われる)CGですが全く飽きさせません。そのうえ、街頭のモニターやポスターが、ニコニコにアップされている有名な「アイマス」系動画の数々というのがまた凄い。
 最高傑作とまでは言いませんが、一見の価値有りです。


 私が大好きなのは、「アイドルマスター DA SCHOOL RAP / バブルガム・ブラザーズ」という作品。
 曲のノリもイイし、否定的要素が非常に少ない、万人に愛される作品だと思います
振り込めない詐欺」というものを実感できました。評価せずにはいられない作品です。
 特に、最後のシーンは圧巻。徐々にテンポアップするところは鳥肌が立ちました。