旬〜味彩の匠〜


 最終巻が発売されたので購入しました。発売前日の15日にも本屋へ足をのばしましたが、これは空振りに終わりました。
 連載中に読んでいた方はごぞんじですが、「旬」は月刊少年マガジンから、マガジンGREATに飛ばされました。それだけでは飽きたらず、移籍後にはわずか3話で連載終了!? 「月刊で完結させてやれ!」と声を大にして言いたい。
講談社マンガ雑誌は、新連載が始まるたびに、私の読む作品が減少傾向にあり、縁が遠くなる一方です。いずれは週刊の購入を断念する日がくるかもしれない)
 移籍後の話を読み損ねたため、購入する一番の目的はその3話です。
 しかし……、もともと移籍時に完結を見込んでいたのか、物語をまとめるという主題で進めたらしく、やや面白さに欠けているように思いました。一番人気の谷山さんがメインの話はおいておくとしても、ラストの2話はものたりなさが感じられます。
「冷製パスタ」ですが、肝心のアイデアが谷山さんのものとなると、正真正銘谷山作となるのではないでしょうか? 一番のキモである基本アイデアは主人公である旬の担当として、デザインが谷山さんという分担が一番しっくりくると思います。
 今回の掲載作品は4話なので、月刊少年マガジンでの最終回にあたる「チキン南蛮」も載っています。はっきり言って、私は「旬」の作品中で一番この話が好きでした。それだけでもこの巻を買ったかいがあろうというもの。
 この話は「料理勝負」ではなく、「思い出の料理を再現する」パターンです。ベタベタでややもするとクサいという展開なのですが、「旬」の場合はすんなりと受け入れてしまう自分がいます。絵もそうですが作品の雰囲気がそう感じさせるのだと思います。作中で旬の才能は「調和」とされているのですが、この作品そのものも非常にバランスのとれたデキだと感じました。
 こういう地味な良作が失われていくのは非常に残念です……。